
・ 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう) 掌蹠膿疱症性関節炎
掌蹠膿疱症の軽快・完治を目指す場合には、禁煙、徹底的かつ定期的な口腔ケア、扁桃摘出、白血球の活性化を抑制する薬剤の使用、外用薬を上手に利用する、などが治療のポイントとなります。 |
手のひらや足の裏に、たくさんの小さな膿疱(のうほう)が出現する病気です。 皮膚の症状だけでなく、関節痛があったり、鎖骨(さこつ)と胸骨(きょうこつ)で接する部分でふくらんでしまうこともあります(掌蹠膿疱症性骨関節炎)。 痛みは、激痛であることもあります。 掌蹠膿疱症に骨や関節の病変を合併した場合、掌蹠膿疱症性骨関節炎、あるいはSAPHO症候群(synovitis, acne, pustulosis, hyperostosis, osteitis:サフォーしょうこうぐん)と呼称されます。 頻度は、低いですが、爪の変形を伴う場合もあります。 頭の回転の速い人が多いのが特徴です(たとえば、女優のN.E.さん)。 掌蹠膿疱症は、喫煙者に出現することが多いのが大きな特徴の一つです。 喫煙により、口腔内の衛生状態が悪化し、α連鎖球菌が増殖⇒白血球が過剰に活性化することが掌蹠膿疱症の原因となります。 喫煙者は、必ず禁煙することが必要です。 まったく禁煙するおつもりがない方は、当院では、対応は困難です。 禁煙のお勧めは、受診者のみならず、喫煙されているご家族の方にも行いますので、悪しからず、ご了承下さい。 喫煙していなくても、口腔内が不良な衛生状態、慢性扁桃炎は、掌蹠膿疱症の原因となりえます。 虫歯の治療、歯石除去やPMTCなどの歯科的ケア、扁桃の膿栓吸引、扁桃摘出などが重要なポイントです。 扁桃は、埋没扁桃(見かけ上、肥大がなく、埋没している)の場合も少なくありません。 埋没扁桃でも、慢性感染が少しでも疑われる場合は、摘出術の対象となります。 Bスポットの炎症(上咽頭炎)が、掌蹠膿疱症の病巣となることもあります。 耳鼻科にて、塩化亜鉛溶液を塗布(Bスポット療法)したり、扁摘のときに、ここの組織の摘除をすることも行われます。 ![]() ![]() 口腔内の細菌数を低減させるために、Dr.ウオーターを用いたうがいもお勧めしています。 扁桃摘出は、主としてさいたま赤十字病院・耳鼻咽喉科に依頼しています。 1週間の入院が必要です。 治療は、つけ薬(外用薬 オキサロール、ステロイド軟こう、尿素軟こうなど)、白血球の活性化を抑える薬剤などを用います。 手のひらや足の裏の膿疱は、比較的早くに消失します。 骨や関節の変化は、治療開始が遅いと回復できない場合もあります。適切な治療を、なるべく早急に開始する必要があります。 掌蹠膿疱症性骨関節炎にビスフォスフォネート製剤を使用することもあります。 掌蹠膿疱症とアレルギーに基づく手湿疹を合併している方もいます。 この場合、アレルギー疾患の項に記載した方法により、体質改善を併用すると、より効果的に改善を図ることができます。 ![]() 当院では、ビオチンは使用しません。 症状が重症であるとき、トレムフィアを考慮します。(現在は、施行している他院に紹介しています。) 「歯科金属アレルギー」については、禁煙、十分な口腔ケア、薬物療法を行ったあとでも、改善しない場合に、病因として、考慮することがあります。 歯石やヤニがたっぷりついているのに、最初から、歯科金属の交換をお勧めするのは、治療していく順序が違うと思われます。 まず、徹底的な口腔内の細菌数(α連鎖球菌)の低減を行うことが先決であり、非常に重要です。 発症のメカニズム:口腔内の常在菌であるα連鎖球菌が、皮膚の中にT細胞の遊走(ホーミング)を誘導するT細胞上のCLA抗原の発現を増大させることが掌蹠膿疱症の原因の一つです。 また口腔内の常在菌であるα連鎖球菌がT細胞上のケモカイン受容体(CCL6)の発現を増大させ、そのリガンドが発現している手のひらや足の裏にそれらの細胞の遊走を促進しています。 時に、歯科金属に対するアレルギーが関与している場合もあります。 ![]() |