・目次
生活習慣病 | |
慢性腎臓病 |
・生活習慣病高血圧、脂質異常症、糖尿病、痛風・高尿酸血症、メタボリック症候群等の生活習慣病について、診察しています。 ・慢性腎臓病(CKD)慢性腎臓病は、下記の①、②のいずれか、または両方が3か月以上続いている状態(=腎障害が3か月以上持続する)です。 ① たんぱく尿(微量アルプミン尿を含む)などの尿異常、画像診断や血液検査、病理所見で腎障害が明らかである状態 (0.15g/gcr以上のたんぱく尿が出ている) ② 血清クレアチニン値をもとに推算した糸球体濾過量(eGFR)が、60ml/分/1.73㎡未満の状態 ☆ 糸球体ろ過量の低下だけでなく、尿蛋白の量が多いほうが、将来的な腎機能廃絶のリスクが高まります。 糖尿病などの生活習慣病に伴って、慢性腎臓病を併発される頻度が増えます。 加齢も、腎機能低下の大きな要因です。70歳以上の方は、半数が慢性腎臓病に至っています。 腎機能低下は、末期にならないと自覚症状がでないため、つい油断してしまいがちですが、十分な注意が必要です。 慢性腎臓病があると、心血管病(心筋梗塞など)のリスクが上昇します。TMAO(トリメチルアミン-N-オキシド)は、動脈硬化の要因の一つです。 ・ホスファチジルコリン(レシチン 卵黄に多い)、カルニチン(赤身肉に多い)が、腸内細菌により、トリメチルアミン(TMA)に変換され、さらに肝臓で、尿毒素のTMAOに変換されます。 ・タンパク質が分解して生ずるアミノ酸の一つのトリプトファンは、腸内細菌により、インドールに変換され、さらに肝臓で、尿毒素のインドキシル硫酸に変換されます。 ・チロシンは、腸内細菌により、p-クレゾールに変換され、さらに肝臓で、尿毒素のp-クレシル硫酸に変換されます。 これらの尿毒素は、腎臓から尿中に捨てられますが、腎機能低下により、尿中に十分捨てられなくなります。TMAOは、動脈に沈着することにより、動脈硬化が促進します。 慢性腎臓病の場合、生活習慣病などの基礎疾患がある場合は、栄養指導・運動の確認や治療を行います。 慢性腎臓病(CKD)の保存的管理のため、植物主体低タンパク食(PLADO)が奨められています。 CKDの新たな標準治療は、最新のKDOQI(腎臓の国際的組織)によると、 ・非糖尿病CKDでは0.55〜0.6 g / kg /日 ・糖尿病CKDでは0.6〜0.8 g / kg /日 の制限されたタンパク質食です。 この時、タンパク源は、50%以上が植物由来であることが大切です。( 2020年9月現在のガイドライン) イメージは、各種 野菜たくさん(ただし、血清Kには注意が必要)、豆腐・納豆主体のタンパク です。 しっかり運動することは、慢性腎臓病の進展を抑止します。 高血圧がある場合、夏場に血圧が下がりすぎると糸球体ろ過量が低下する場合があるので注意が必要です。 喫煙者は、禁煙が非常に大切です。 慢性腎臓病のステージに応じて、カロリー摂取制限、塩分制限、タンパク質摂取制限などが必要となります。 ステージが進むと、血中のリン(p)が上昇するため、その対策も必要になります。 また、十分な飲水量を確保すること(飲み物としての水分量は、1日1~1.5L)、定期的歯科受診(口腔ケア)なども推奨しています。 歯周病は、慢性腎臓病を進行させる危険因子です。 薬剤としては、糖尿病の場合は、SGLT2阻害薬、高血圧を伴っている場合は、レニンアンジオテンシン系阻害薬(とくにARB)、その他、状態によって、クレメジン、抗血小板薬などが使用されます。 フォシーガ(SGLT2阻害薬)は、糖尿病のみならず、慢性腎臓病、慢性心不全にも適応があります。 ケレンディアは、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病に、使用されます。レニンアンジオテンシン系阻害薬(ACE阻害薬、ARB)と併用します。 クレメジンは、尿毒素やそのもとになる物質を腸管内で吸着し、便中に捨てる薬剤です。食間の服用が基本となります。当院では、早めに使用し、慢性腎臓病の進展を抑止する方針としています。 腎性貧血を伴っている場合は、ヘモグロビン値10以上を目標に、HIF-PH阻害薬である経口薬のダーブロック、バフセオ、マスーレッドなどを使用しています。 当院では、慢性腎臓病と判断される場合、必要に応じて早めに腎臓専門医にご紹介し、アドバイスをいただいています。 |